エスカレイド導入事例:會澤高圧コンクリート株式会社様

會澤高圧コンクリート_AI異音検知画像_自社運営(オンプレミス)型
會澤高圧コンクリート_AI異音検知画像_自社運営(オンプレミス)型
會澤高圧コンクリート株式会社

昭和10年の創業以来、生コン事業やプレキャスト事業を軸に北海道を中心に拡大。自己治癒コンクリート「Basilisk」など、業界を牽引する新たな取り組みも多数。
プレスリリース:P/S neural 開発ストーリー

人工知能(AI)活用の生コン品質判定システムを開発

AIで練り混ぜ音のスランプ値を判定できないか

御社で開発された「生コン品質判定システム」について教えてください。

―「生コン品質判定システム」は、AIでコンクリートのスランプ値を判定するシステムです。「スランプ」というのは、鋼製中空のコーンにつめたコンクリートが、コーンを引き抜いた後に最初の高さからどのくらい下がる(スランプする)かを示すものであり、スランプが大きいコンクリートは、軟らかいコンクリートということになります。
 熟練の技術者であれば、製造時の画像からおおよそのスランプ値を推定することができるのですが、業界全体で後継者の育成やノウハウの継承が困難になることを見据えて、AIを用いたシステムの開発を行いました。

會澤高圧コンクリート_AI異音検知画像

生コン品質判定システムに音がどのように関わっているのでしょうか。

ー2019年にコンクリート製造時のミキサ内の画像などからコンクリートのスランプ値を判定するAIの開発に取り組みました。AIの画像認識技術によってスランプ値判定の精度は上げられていたのですが、粉塵や水蒸気による曇りなどで画像データが乱れると判定精度が著しく低下するという課題があり、そこで着目したのが、製造時の「音」です。
画像データが乱れた場合の補完として、ミキサで練り混ぜ中の音響からスランプ値を判定できないかと考えました。


最初は画像認識から始まったシステムだったんですね。「音」に注目された際、なぜバーナードソフトにお声掛けいただいたのですか?

―AIで音の判定を実施している企業を調べた際に、札幌でAIを使った異常音監視のシステムを開発している企業がある、と見つけたことがきっかけでした。北海道内の企業だという親近感もあってまずは問い合わせてみよう、と話が進みました。

音監視の精度は予想以上でした

會澤高圧コンクリート_AI異音検知画像

弊社の印象はいかがでしょうか?

ーはじめて問合せた時もそうですが、とにかく質問に対してのレスポンスが早い印象です。
自社開発だけあって、私たちのやりたいことがエスカレイドでどのように実現できるか技術的な検討も早いですし、技術力があるなと思いました。ベンチャー企業ならではのフットワークの軽さや融通の利かせやすさにも好感が持て、他社検討することなく採用を決めました。


ありがとうございます。実証実験の評価はいかがでしたか?

ー想定よりもずっと高精度でした。一般的なコンクリートは、目標スランプ値に対して、プラスマイナス2.5cm以内に収まるかどうかで判定しますが、自社の基準は、さらに厳しくしていて、その半分以下プラスマイナス1.0cmで判定しています。この自社基準であるプラスマイナス1.0cm以内で、ある程度の判定精度が出ていれば十分かなと考えていましたが、結果としては、画像認識のAIと同程度の判定精度でした。正直、音でここまでの精度が出るのは意外でした。

※画像認識:判定正解率は許容差2.5cm以内で97.0%、許容差1.0cm以内で83.6%
独自カスタマイズしたエスカレイド:判定正解率は許容差2.5cm以内で94.3%、許容差1.0cmで81.4%

予想とは違う結果だったと?

―そうですね。というのも、コンクリートは配合ごとに性状が異なり、例えば同じスランプ値のコンクリートでもセメント量が300kg/㎥の配合と500kg/㎥の配合とでは見た目が大きく異なります。音も同様にスランプ値が同じでも配合が異なれば識別が難しいのではないかと予測していましたが・・・・・・予想を裏切る結果になりました。配合量が違ってもスランプ値に共通する何かがあるんだなって、そのときは思いましたね。
とはいえ、現状はまだデータが少ないので、今後データを増やしていき、この精度を維持できれば十分に実用化できると考えています。

異常音検知や設備監視としても導入したい

今後、生コン品質判定システムはどのように発展していくのでしょうか?

ー音響認識でのスランプ値の判定ができることがわかってきたので、次は現在先行している画像認識と組み合わせて、画像データと音響データを掛け合わせた、さらに高精度な判定結果を導き出す「マルチモーダルAI」へと進化させる予定です。

今後の活躍が楽しみです。
その他にエスカレイドの活用を検討されている箇所があれば教えてください。

ー今回はエスカレイドを独自にカスタマイズしていただきましたが、本来の使い方である異常音検知や設備管理としての導入も検討しています。

是非よろしくお願いします。

本日はありがとうございました。

ーありがとうございました。

會澤高圧コンクリート_AI異音検知画像

※このインタビューは2021年2月に実施しました。