自動車ライト部品の微小な嵌合を触覚で検知
この度、手袋型触覚センサーとAIを用いた新たな嵌合検知の実証実験に成功しました。85dBを超える工場内の騒音を再現した環境下で、これまで自動検知が困難であった10mm程度の微小な自動車ライト部品(コネクタ)の嵌合状態を、高精度で判定できることを確認いたしました。
本技術により、人間の耳では聞き分けが困難な環境でも、製品が正しく組み立てられたかをリアルタイムで自動判定することが可能になります。
実証実験の概要
本実験は、自動車の重要部品であるインジェクターノズルの組み立て工程で発生しうる、コネクタの嵌め忘れや不完全な嵌合といったヒューマンエラーの防止を目的として実施しました。
実施日 :2025年7月20日
目的 :コネクタが正しく嵌められた際の「カチッ」という嵌合を
手袋型触覚センサを用いてAIでリアルタイム検知
場所 :会議室内に、実際の工場騒音(85dB以上)を再現
システム、機材 :嵌合音判定システム「エスカレイド ボウル」
手袋型触覚センサー、無線アンプ
評価方法 :コネクタの横を持った嵌め方
ケーブルを持った嵌め方
コネクタの持ち方
コネクタの持ち方を以下のような2種類で試しました。
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横持ち | ケーブル持ち |
判定結果
上記の学習済みAIモデルを使用し、精度検証テストを行いました。
その結果、判定しきい値80%に対し、極めて高い精度での識別が可能であることを確認しました。
正常判定:40回のコネクタ嵌合音(横持ち、ケーブル持ち各20回)を、すべて「嵌合(Connected)」と正しく検知(正答率100%)。
異常判定:110回のコネクタ衝突音を、すべて「それ以外(Other)」と正しく検知(正答率100%)。
表1 判定結果一覧
図1 各判定結果のバラツキ
デモ動画で見るリアルタイム判定
実際の判定の様子を動画でご覧いただけます。騒音下で、作業者が手袋型触覚センサーを装着し、コネクタの嵌合を次々と判定していく様子が確認できます。
《動画のポイント》
過酷な環境の再現:
手袋型触覚センサを用いることで、周囲の騒音の影響を一切受けることなく嵌合音判定が可能です。
リアルタイム判定:
コネクタ同士がぶつかる衝突音が発生すると、PC画面は即座に「Other(赤色)」と表示します。
コネクタを正しく嵌合させ、「カチッ」という音が発生した瞬間、「Connected(緑色)」を表示します。