2025.08.04

85dB超の工場騒音下で自動車部品の嵌合音を100%検知

この度、当社の嵌合音判定システム「エスカレイドボウル」を用いて、自動車部品メーカー様のご協力のもと、85dBを超える工場騒音を再現した環境下で、インジェクターノズルのコネクタ嵌合音をAIが100%の精度で検知することに成功しました。
本技術により、人間の耳では聞き分けが困難な環境でも、製品が正しく組み立てられたかをリアルタイムで自動判定することが可能になります。

 

実証実験の概要
本実験は、自動車の重要部品であるインジェクターノズルの組み立て工程で発生しうる、コネクタの嵌め忘れや不完全な嵌合といったヒューマンエラーの防止を目的として実施しました。

実施日     :2025年6月20日
目的      :コネクタが正しく嵌められた際の「カチッ」という嵌合音をAIでリアルタイム検知
場所      :会議室内に、実際の工場騒音(85dB以上)を再現
システム、機材 :嵌合音判定システム「エスカレイドボウル」
         市販のスタンドマイク
AI学習データ  :正常な嵌合音 139回分
         嵌合以外の音(衝突音など)151回分

 

判定結果
上記の学習済みAIモデルを使用し、精度検証テストを行いました。
その結果、判定しきい値80%に対し、極めて高い精度での識別が可能であることを確認しました。

正常判定:80回の嵌合音を、すべて「嵌合(Connected)」と正しく検知(正答率100%)。
異常判定:110回のコネクタ衝突音を、すべて「それ以外(Other)」と正しく検知(正答率100%)。

 

表1 判定結果一覧 

図1 各判定結果のバラツキ

 

デモ動画で見る、工場騒音下でのリアルタイム判定
実際の判定の様子を撮影したデモ動画では、AIが騒音に惑わされることなく、嵌合音だけを瞬時に捉える様子が確認できます。

 

《動画のポイント》
過酷な環境の再現:
 スピーカーから実際の工場騒音を再生し、騒音計は常に85dB以上の過酷な環境を維持しています。
リアルタイム判定:
 コネクタ同士がぶつかる衝突音が発生すると、PC画面は即座に「Other(赤色)」と表示します。
 コネクタを正しく嵌合させ、「カチッ」という音が発生した瞬間、「Connected(緑色)」を表示します。